ガソリンを購入する際に価格の一部を構成する「ガソリン税」は、日本の税制の中で重要な収入源の一つです。この税金には、特別措置として「暫定税率」が適用されています。本記事では、ガソリン税の仕組み、暫定税率を含む税金の内訳、そしてこれらの税金がどのように利用されているのかを詳しく解説します。
ガソリン税とは?
ガソリン税(正式には「揮発油税」)は、ガソリンの購入時に消費者が支払う税金で、以下の2種類に分かれます。
1. 揮発油税
揮発油税は、道路整備や維持管理などの目的で課される税金です。課税対象はガソリンで、購入する際のリットル当たりの価格に含まれています。
2. 地方揮発油税
地方揮発油税は、地方自治体が徴収する税金で、主に地方道路の維持管理に使われます。揮発油税と同様に、ガソリンの価格に組み込まれています。
ガソリン税の内訳と暫定税率
ガソリン税は、基本税率に「暫定税率」を加えた形で計算されます。2023年時点での税金の内訳を以下に示します。
1. 基本税率
- 揮発油税:1リットルあたり28.7円
- 地方揮発油税:1リットルあたり5.2円
2. 暫定税率
暫定税率は、元々道路特定財源を確保するために設定された税率です。これにより、揮発油税と地方揮発油税が以下のように上乗せされます:
- 揮発油税:暫定税率として25.1円追加(合計で53.8円/リットル)
- 地方揮発油税:暫定税率として4.3円追加(合計で9.5円/リットル)
これにより、1リットルあたり約63.4円がガソリン税として課税されます。
3. 消費税との関係
さらに、ガソリン価格には消費税(10%)が適用されます。この消費税は、ガソリン本体の価格に加え、ガソリン税を含む総額に対して課税されるため、税金に対する消費税も発生します。これを「二重課税」と呼ぶことがあります。
暫定税率の背景と問題点
暫定税率の始まり
暫定税率は1974年、オイルショックによる財源不足を補うための臨時措置として導入されました。その後、期限が延長され、2009年に「租税特別措置法」として恒久化されています。
問題点
- 二重課税
ガソリン税に消費税が課されるため、消費者にとって負担が大きくなります。 - 高負担感
暫定税率により日本のガソリン価格は国際水準と比較して高くなりやすい状況です。 - 用途の不明確化
道路財源として限定されていたガソリン税収は、2008年の道路財源の一般化以降、用途が広がり、特定の目的に使われなくなりました。
ガソリン税の使い道
ガソリン税は主に以下の分野に使われています:
- 道路整備・維持管理
高速道路や一般道路の建設や修繕。 - 環境保護
省エネ技術や再生可能エネルギーの普及支援。 - 地方自治体の財源
地方自治体の予算に組み込まれ、公共サービスに活用されています。
ガソリン税を取り巻く議論
税率引き下げの要望
原油価格高騰や家計負担の軽減を理由に、ガソリン税や暫定税率の引き下げを求める声が多くあります。
炭素税の議論との関係
環境保護を目的とした炭素税が議論される中で、ガソリン税の在り方も見直される可能性があります。
まとめ
日本のガソリン税は、道路財源や地方自治体の収入として重要な役割を果たしています。しかし、暫定税率の恒久化や二重課税、家計負担への影響といった問題点も抱えています。ガソリン税が持つ役割と課題を理解することで、今後のエネルギー政策や税制改革を考える上でのヒントになるでしょう。
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